世の中にはたくさんの職業があります。例えば、パイロット、野球選手、ビジネスマン、中には自分で会社を興こす人もいます。みなさんはどんなきっかけでご自分の職業を選びましたか？
僕が将来の進路について真剣に考えはじめたのは高校の3年生の頃。人と接する仕事がいいな、それも喜ばれ感謝される仕事はもっといいな、と思うようになりました。そして僕の頭に浮かんでくるのはやっぱり祖父の姿でした。

僕の祖父は九州飯塚で開業医をしておりました。当時、飯塚市は炭鉱の町で、裕福な家庭は少なかったと聞いています。そんな中で、祖父は患者さんからはあまり診察代を受け取らなかったようです。その代わり、野菜などの食べ物をもらったり、患者さんと囲碁や将棋などして慕われていたとのこと。昔ですから、周囲に医者は少なく、専門の皮膚疾患はおろか、それこそ風邪から怪我まで何でも、また大人から子供まで診ておりました。（愛犬の予防接種までしていたと聞きましたが、真偽のほどは定かではありません。（笑））
そんな祖父は65歳のときに他界。ちょうど僕が生まれた1970年のことです。いつも祖父の話を聞かされて育った僕にとってはあこがれの存在。みんなから慕われ、どんな患者さんでも診れる祖父のような医者になりたいと思ったのが、この道を目指すきっかけでした。

「外科医＝手術」みなさんそんなイメージを持っていませんか？
僕自身も外科医になりたての頃は、手術することだけが外科医の仕事だと思っていました。
しかし実際は、手術を受ける患者様の中にはご年配の方もいらっしゃるので、高血圧や糖尿病など、何らかの慢性疾患をお持ちの方が多く、そういった慢性疾患の対応など、患者様の術前術後の管理をはじめ、術後の化学療法（抗ガン剤）、癌の再発による終末期の患者さんの治療（麻薬を使った疼痛コントロール）などを学びました。
疾患としては、消化器疾患から乳腺疾患·肛門疾患·小児外科まで、幅広く勉強をさせていただきました。また、消化器疾患の諸検査として、腹部エコー・胃カメラ（経鼻カメラ・経ロカメラ）・大腸カメラをさせて頂きました。当直では外傷（いわゆるケガ）の治療法から、重症患者様の緊急手術に至るまでの救急対応を学びました。

そういった研修の中で、大学病院では「患者さんを常に自分の親や身内と思って対応をしなさい」と教えて頂きました。また県立奈良病院勤務時の外科部長からは「患者さんに夜中呼ばれることはつらいけど、呼ぶほうはもっとつらいんだよ」と教えて頂きました。さらに済生会奈良病院勤務時の院長からは「救急医療が一番医者らしいんだよ」とも教えていただきました。その後救命救急センターでの勤務となりましたが、しんどいながらも充実した日々を過ごしました。

その後2010年4月「地域のかかりつけ医」として箕面市小野原西5丁目で開業をさせていただきました。
今までの経験を通じて患者さんの健康をサポー トさせていただけたらと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。